金沢大学人間社会研究域附属 グローバル文化・社会研究センター

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[活動報告] 2023年11月24日 レジリエンス研究会「私史の史料論 ― 書き手の主観をいかに読み、用いるか」

グローバル・レジリエンス研究部門が実施する研究会(レジリエンス研究会)が2023年11月24日に開催されました。


研究会題目:「私史の史料論 ― 書き手の主観をいかに読み、用いるか」
報 告 者: 前野 清太朗(グローバル文化・社会研究センター特任助教)
使 用 言 語: 日本語

概   要:著名でない一般の人々による日記・手紙が歴史学・社会学などの分析対象となって久しい。近年では更に、個人が遺した写真・映像・器物も読解すべき史料(資料)として加わるようになっている。これらの私的な著作物は、時としてミクロ社会の歴史的状況を後代の分析者に提供してくれる。一方でその利用にあたっては、著作物を遺した当事者たちの意図や主観を一旦切り離した上で、分析者の意図または主観を通じた史料(資料)としての再構成を加える行為がしばしば避けて通れない。著作物そのものがもつ意図や主観、およびそこにある「認識された過去」 の存在については、歴史哲学や民族誌論による議論がすでに積み重ねられてきた。本報告では「私史」とでも呼ぶべき過去記述がなされたある私的著作物を取り上げる。既存の「認識された過去」をめぐる議論をふまえながら、私的著作物がもつ意図や主観を、実際の研究から教育実践にいかに利用していくことができるかを考えてみたい。