金沢大学人間社会研究域附属 グローバル文化・社会研究センター

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7/31(水)シンポジウム「災害と社会:能登半島地震から考える」

2024年度 人間社会研究域附属グローバル文化・社会研究センター 越境文化研究部門主催シンポジウム「災害と社会:能登半島地震から考える」を、以下の日時・場所で開催いたします。

今回は特別ゲストとして、輪島塗塗師の赤木明登氏をお迎えし、能登の現状とこれからについて語っていただくほか、本学教員による災害と社会に関する研究発表を行います。どうぞご来聴ください。

2024年7月31日 13:00-15:00
金沢大学角間キャンパス人間社会第1講義棟302講義室

駒井徳太郎関連資料贈呈式(13:00-13:15)
杉山欣也(グローバル文化・社会研究センター長)

趣旨説明(13:15-13:20)
岩津航(金沢大学グローバル文化・社会研究センター越境文化研究部門長)

特別講演(13:20-14:00)
赤木明登氏(輪島塗塗師)「工藝的復興について考える」
【自然の巨大な破壊力に対して、これまで人間は文明の巨大な力で対抗し、復興を遂げてきた。だがいま、力づくの復興にも限界が見えてきたのではないか。今回の能登地震を契機に、復興のもう一つ別の道筋を見つけてみたいと思う。固有の土地の歴史と、風土の、連続性を保つという意味で「工藝的」という言葉をキーワードにして、交換不可なこの地域特有の復興について考えてみたい。】

研究報告1(14:00-14:30)
田邊浩(金沢大学人間社会研究域教授)「震災から垣間見えたもの:揺らぐ信頼、高まる不安、変容する社会」

研究報告2(14:30-15:00)
原佑介(金沢大学グローバル文化・社会研究センター准教授)
「災害と排外主義:関東大震災の同時代文学を手がかりに」

【シンポジウム趣旨説明】
 2024年1月1日に発生した能登半島地震は、甚大な物的被害だけでなく、文化面においても大きな傷をもたらしました。それは能登という土地固有の問題にとどまらず、日本全体が抱える問題を可視化したとも言えます。
 たとえば、交通の不便と文化の多様性との関係や、「田舎」から都市への人口流出がもたらす恩恵と弊害について、私たちはあらためて考えさせられました。さらに、帰省中に発生した今回の震災は、災害がその土地に住む人だけの問題ではないということも教えました。こうした状況において、人文学からどのような応答ができるのか。
本シンポジウムでは、まず文化的考察を積極的に発信している輪島塗塗師の赤木明登氏に特別にご講演いただき、能登の現状と今後の課題についてお話しいただきます。本学教員からは、社会学を専門とする田邊浩教授が、リスク社会論を中心に、災害から見えるグローバル社会の問題について分析します。続いて、近代日本文学研究の原佑介准教授が、関東大震災を題材にした文学作品を通じて、社会的分断やメディアの問題について考察します。
 本シンポジウムを通じて、災害によって、人間がつくる社会にはどのような問題が生じ得るのかを考え、物質的・精神的被害から人間を少しでも守るための糸口を探りたいと思います。皆様のご来聴を心よりお待ちしています。

 なお、当日はシンポジウムに先立ち、本研究センターへ資料をご恵贈いただいた駒井徳太郎氏ご遺族による贈呈式も予定されています。