金沢大学人間社会学研究域附属 グローバル文化・社会研究センター

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[第13回研究会]2025年6月19日「The significance and limitations of Georgescu-Roegen’s flow-fundmodel: A comparative analysis with similar process analysis models」(デジタル社会構造・変革研究部門)

 

デジタル社会構造・変革研究部門研究会が実施する第13回研究会が2025年6月19日に開催されました。

題目:「The significance and limitations of Georgescu-Roegen’s flow-fundmodel: A comparative analysis with similar process analysis models」

報告者:瀬尾崇(金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授)

本研究は、現代のエコロジー経済学の学史的源泉の一人とされるニコラス・ジョージェスク=レーゲンが提唱したフロー・ファンド・モデルについて、その現代的意義を再確認することを目的としています。この生産モデルは、レオンチェフの投入・産出モデルやスラッファの生産理論と同じく、生産「過程」の代替的モデルとして提唱されたものだが、後者の二つのモデルと比較すると、経済理論の分野ではその後の理論的発展は乏しく、現代では忘れ去られた感のあるモデルです。

他方で、現代のエコロジー経済学では、ジョージェスク=レーゲンの「生物経済学」構想の一つの重要な核として受け入れられている側面もある。このように賛否両論がある同モデルの意義を学史的に論証することが本研究の具体的課題としています。

この再確認を通じて、ジョージェスク=レーゲンの「生物経済学」構想が、シュンペーターの「経済進化」の考え方を継承するものであり、ひいては現代の進化経済学に思想的系譜として接続しうることの論証を目的とした、現在の科研課題のテーマにつなげていきたいと考えています。